水産増殖
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神奈川県毘沙門におけるアカウニのすみ場特性
今井 利為新井 章吾
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1994 年 42 巻 2 号 p. 307-313

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抄録

アカウニのすみ場特性を明らかにするために, 神奈川県三浦市毘沙門においてアカウニの稚仔と成体が生息するそれぞれの海底地形と海藻相などを調査した。また, アカウニのすみ場を既存の文献に記載されている水産上重要なウニのすみ場と比較した。
1. アカウニの稚仔は, 水深8~12m付近の砂地に点在する長径20~30cmの礫下面にみられた。
2. アカウニの成体は, 水深3~8mにある長径30~60cmの礫が形成する空間をすみ場にすることが多かった。
3. 稚ウニが分布していた場所の海藻の特徴は, 殻状の無節サンゴモおよびイワノカワ科が優占し, カジメの幼体が生育する場所であり, 成体のそれはカジメの成体とエツキイワノカワ, ホソバノトサカモドキなどが優占する場所であった。
4. アカウニは, 成長するにつれて, 安定度の高い基質にすみ場を移行させる。また, 発育段階に応じた殻高に, すみ場空間を対応させていた。
5. アカウニと共棲みする藻食動物は, アカウニとすみ場空間ならびに餌を巡って競合していると考えられる。

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