1994 年 42 巻 4 号 p. 515-520
地球温暖化の一要因とされている大気中の二酸化炭素を生物学的に固定するため, スジアオノリを用いた培養面積1m2の屋外実験を行った。海水に二酸化炭素を供給することで供試海水のpHは6.4まで低下したが, スジアオノリの生長に顕著な影響は認められなかった。二酸化炭素を供給した場合のスジアオノリの二酸化炭素固定量は, 無供給例と比較して約1.5~1.7倍多くなった。二酸化炭素を74g-C day-1供給した場合に最大二酸化炭素固定量 (12g-C m-2 day-1) , 最大光合成効率 (4%) , 最大二酸化炭素固定効率 (9%) が得られた。二酸化炭素固定量は, 全天平均日射量10~15MJ m-2 day-1で最大値を示した。スジアオノリの特産地である四国地方でスジアオノリを屋外培養した場合の年間炭素固定量は, 2kg-C m-2と推定された。