1.水産増養殖の重要なマダイおよびヒラメに対する有機リン剤MEPおよびカーバメイト剤NACの急性毒性を発育段階ごとに調べ, 成長に伴う感受性の変化を検討した。
2.マダイ仔魚のMEPに対する感受性は, ふ化後5日目から47日目の仔魚までLC50値が1.2~1.7ppmの範囲にあり, NACに対しては0.6~3.0ppmの範囲であり, ともに成長に伴う大きな変化は認められなかった。
3.ヒラメ仔魚のMEPに対する感受性は, ふ化後3日目から60日目の仔魚までLC50値が0.8~2.8ppmの範囲であり, NACに対しては0.9~3.2ppmの範囲であり, ともに成長に伴う大きな変化は認められなかった。
4.MEPおよびNACによる中毒症状は, マダイ仔魚において遊泳姿勢不安定, 自発性運動低下, 横転状態, 体色黒化および縞模様として認められた。ヒラメ仔魚の場合, 浮遊期の仔魚では遊泳姿勢不安定, 自発性運動低下, 横転状態がみられ, 着底期の仔魚ではさらに, 狂奔状態や魚体が裏返しの状態が観察された。これらの多くが神経毒性に起因するものと考えられた。