抄録
ラクトフェリン (LF) をマダイに経口投与し (4~400mg/kg体重/日) , 体表粘液の量および非特異的生体防禦活性の変化を調べた。LFの投与によりマダイ体表粘液の分泌量および粘液中へのLFとレクチンの分泌量が増加した。また, 血液中の顆粒球やリンパ球数が増加した。すなわち, LFの投与はマダイの血液中の非特異的な細胞性生体防禦因子を増加させるのみならず, 体表粘液の非特異的な生体防禦機能を活性化することによって魚の生体防禦能力を高めることが示唆された。LFの投与はマダイ体表粘液中へのリゾチーム分泌量には殆ど影響を及ぼさなかった。4%LF投与区では飼育42日目に僅かに成長の遅延が認められたほか体表粘液の分泌量が減少した。これらの変化がLFの過剰投与によって引き起こされたものかどうかを今後さらに検討する必要がある。