水産増殖
Online ISSN : 2185-0194
Print ISSN : 0371-4217
ISSN-L : 0371-4217
各種培養液でのスサビノリのプロトプラストの再生形態, 成長, 生存および幼芽の成長について
阿知波 英明伏屋 満
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 44 巻 3 号 p. 291-297

詳細
抄録
1) 7種類の栄養添加培養液 (ESS, 改変ESS, PES, 改変SWMIII, F/2, SWIIおよび改変ESP) と4種類の人工海水 (ASP12NTA, 改変ASP6, ASS1およびジャマリンU) についてろ過海水を対照区として, プロトプラストの再生形態, 成長, 生存および幼芽の成長に関する試験を行った。
2) 培養19日後のプロトプラストの生存率は, 栄養添加海水ではほぼ同じであったが, 人工海水では改変ASP6とASS1でよくなかった。
3) プロトプラストの再生形態 (培養19日後まで) では, PES, 改変SWMIII, ESSおよびF/2が単胞子を形成しやすく, SWIIは根様糸の形成が多くなった。
人工海水では, ASP12NTA, ジャマリンUで単胞子を形成する個体が多くなり, 改変ASP6ではほとんど単胞子を形成せず, また, ASS1は細胞塊の割合が多くなった。
4) 培養19日後の各種再生形態の大きさは, 栄養添加海水ではESS, 改変SWMIIIの成長がよかった。一方, 人工海水では単胞子を形成後の正常葉体の成長はASP12NTAでよく, 改変ASP6では劣る傾向を示した。
5) 幼芽の成長には, 栄養添加海水では改変SWMIII, ESSがよく, 人工海水ではASSIとASP12NTAがよかった。
6) 以上のことから, プロトプラストから幼芽までの一連の培養においては, 栄養添加海水ではESS, 改変SWMIIIが, 人工海水ではASP12NTAがよいということができる。
著者関連情報
© 日本水産増殖学会
前の記事 次の記事
feedback
Top