1998 年 46 巻 1 号 p. 1-6
1.サザエのGI値の変化, プランクトンネットによる浮遊幼生の採集状況, およびコレクターによる稚貝の採集状況などから, 多古地区の1995年のサザエの産卵期は表層水温21℃以上の6月下旬から10月下旬の間であり, その盛期は8月前半と9月後半の2回あったと考えられた。
2.水温および波浪の変化とサザエの浮遊幼生の出現との関係を検討したところ, 数日間の急激な水温変化がサザエの配偶子放出を誘起する一つの環境要因であると考えられた。
3.コレクターによる浮遊幼生の分布域の調査からサザエのベリジャー期の浮遊幼生は底層よりも中層から表層付近に偏って分布する傾向が認められた。