2001 年 49 巻 1 号 p. 1-7
階段式魚道におけるウグイの遡上行動を知るため遡上調査を行った。遡上したウグイは成熟した2年魚が優占し,わずかに未成熟魚も遡上した。7日間連続して遡上率を調査したところ,遡上率は2日目に50%を超えた。ウグイの24時間遡上率は6月,7月ともに魚道流量が増加するほど高くなった。体長8.4cmのウグイの遡上に支障がない水理環境は,越流流速100cm/s以下,水深15cm以上,落差28cm以下であることがわかった。ウグイの遡上魚数は14:00~16:00にピークとなった。ウグイの遡上型別の遡上魚数は,跳躍型に比べて遊泳型が多かった。ウグイの遡上に対して障害のない魚道を設計するためには,流量といった単純な水理条件ではなく,魚道内の構造や水の流動をウグイがどのように利用しているかを明らかにして検討する必要がある。