2004 年 52 巻 4 号 p. 413-420
フコイダンの投与が魚類の生体防御活性および生理状態に及ぼす影響を調べた。体重40g前後のコイに, ガゴメ由来のフコイダンを10, 50, 200mg/kg体重/日の割合で4週間経口的に投与して飼育し, 2および4週間目に魚を取り上げ, その非特異的生体防御活性および血液中の生理指標を調べた。フコイダン投与により, 免疫担当細胞であるリンパ球や顆粒球の数が増加すると共に, 顆粒球の貪食能, NK様細胞活性, および血漿中のリゾチーム活性が上昇した。今回調査した多くの生体防御活性は, 50あるいは200mg/kg体重/日の割合で, フコイダンを4週間経口投与することにより有意に上昇した。また, 上述の量のフコイダンを投与することにより, コイの血液中の総脂質や過酸化脂質濃度, GOT活性が有意に低下した。これらの結果は, フコイダンには, 魚類の生体防御活性を賦活化する作用のみでなく, 魚の脂質代謝や肝機能等の生理状態を改善する作用のあることを示唆する。