抄録
ブリの無魚粉飼料給与による緑肝の発症原因を, タウリン補足量の異なる無魚粉飼料で41週間飼育したブリ稚魚における, 飼料タウリン含量と体内のタウリン含量, 胆汁色素含量および肝臓のタウリン合成酵素活性の関連から調べた。タウリン無補足区では, 飼育成績は劣り, 貧血と緑肝が高率にみられ, 肝臓のタウリン含量が低く, 胆汁色素含量が高かった。タウリン補足区では, これら劣悪な状況は著しく改善した。肝臓のタウリン合成酵素活性は, 全区で著しく低かった。ブリのタウリン合成能は著しく低く, 無魚粉飼料にはタウリン補足が必要であり, 無魚粉飼料給与による緑肝はタウリン欠乏に伴う胆汁色素の排泄低下と, 溶血による胆汁色素の過剰産生により発生することが分かった。