2006 年 54 巻 3 号 p. 359-364
福島県栽培漁業協会のウニ, アワビ飼育水槽内で紅藻ユカリが摂食されずに生育していた。そこで, 同飼育水槽内, 宮城県松島湾ならびに静岡県伊豆半島に生育するユカリのエゾアワビに対する摂食阻害活性とユカリ群落に生息する底生動物群集組成を調べた。ユカリのアセトン抽出物から摂食阻害物質として8種のハロゲン化モノテルペン化合物が単離同定された。アセトン抽出物の阻害活性は福島産がもっとも高く, 松島湾産, 伊豆半島産の順であった。底生動物群集は, 小型腹足綱が多く, 松島湾と伊豆半島では優占する種が異なっていた。