1958 年 6 巻 1 号 p. 10-13
パラチオンの水中植物による吸収と分解作用についての実験を行ったが, 得られた結果を要約すると次のとおりである。
1. アオミドロ等の沈水植物や植物プランクトンは, 水中のパラチオンを吸収, 分解しその能力は沈水植物が植物プランクトンの3-4倍程度大きい。
2. 水中植物のパラチオン吸収量は, パラチオン濃度にほぼ比例して変化する。
3. パラチオンは, 植物プランクトンの繁殖を阻害し, 更に水中植物の酸素代謝作用に異常を生ぜしめ, 酸素消費量は増大する。
終りに, この研究は昭和30年度農林省応用科学研究費によって行われたものの一部であることを記し, ここに厚く謝意を表する。