2014 年 20 巻 p. 28-51
本論は、明治期の砂川村役場文書の兵事文書(特に上級官庁からの収受を中心とする兵事関係の簿冊)を事例にし、目次無簿冊から目次有簿冊へ整理されていく変化を、日別綴から件別綴への変化として捉える構図を提示している。併せて、明治25年に準則が出されながらも、対外戦争による業務の拡大が簿冊の未整理をもたらしたように、簿冊が整理されていく過程を、アーカイブズ学的観点(簿冊の整理に関する技術的理解)と日本近代史的観点(明治中後期の所謂日清・日露戦争期に関する歴史学の問題関心)を連結させて考える視点で分析し、日清・日露戦争期という時代の特性の中で「簿冊の整理」を理解する枠組みを提示する内容になっている。