2014 年 20 巻 p. 92-115
本稿は、近年盛んに議論されている「MLA 連携」「資料保存」を、メディアへの「共時的アクセス」「通時的アクセス」を保証する営みである、と読み替え、両者が密接な関係を有することを、東京大学経済学部資料室が収蔵する資料の例を踏まえて、示そうとするものである。その際、まず、メディアへのアクセスが様々な水準で行われること、そして、そのアクセスの在り方が、メディア自体の構造と機能によって規定されることを明らかにする。このように、各種メディアの特性を捉え直すことにより、博物館(M)、図書館(L)、文書館(A)という既存の枠組みを自明の前提としない、取り扱うメディアそのものを基盤に置いた、収蔵機関の在り方の可能性を提示する。