2015 年 23 巻 p. 79-91
本稿は東京外国語大学文書館における「自校史教育」を踏まえた、文書館における普及活動の一側面についての実践報告である。諸大学で自校史教育が実践されるようになって久しいが、大学文書館を有する大学では、自校史教育を所蔵資料の活用公開、普及活動の一環として位置づけ実践される場合も多い。しかし、普及活動は文書館活動とその資料の紹介や文書館への理解者の拡大に留まらない可能性を有している。むしろ普及活動は双方向的な情報共有、コミュニティ構築の端緒として捉えることで、広範な文書館活動に役立つ普及活動の在り方が見えてくるのではないだろうか。実践を通して見えて来た一案を提起したい。