アーカイブズ学研究
Online ISSN : 2434-6144
Print ISSN : 1349-578X
23 巻
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
論文
  • 方法論の違いと出所及び原秩序尊重原則の解釈
    橋本 陽
    原稿種別: 研究論文
    2015 年 23 巻 p. 4-22
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿は、欧米の編成記述の手続きを欧米型整理論と呼称し、それと日本の方法論である段階的整理を比較し、両者の違いを明らかにすることを目的とする。まず段階的整理の原点を見直し、その発展はマイケル・クック氏の議論に大きく依拠していた事実を指摘する。次にクック氏の著書、アメリカ、フランス及びICAのマニュアルを検証し、欧米型整理論の詳細を示すとともに段階的整理との比較を行う。最後に、アーカイブズ学の基礎である出所と原秩序の尊重が当時の欧米のアーキビストにどのように認識されていたかについて1964年のICA大会の報告に依拠して振り返り、方法論の背景を探る。

特集:2015年度大会
講演
企画研究会「アーカイブズを学びに活かす」
  • 研究担当, 藤吉 圭二
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 23 巻 p. 40
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー
  • 坂井 久能
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 23 巻 p. 41-57
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    高等学校学習指導要領が改訂・施行されて3年目を迎えた。改訂の要点の1つが歴史資料の活用であり、思考力・判断力・表現力等の育成をはかることが重視されている。本稿は、このような高校教育における歴史資料活用重視の傾向のなかで、特に戦争資料を活用した授業実践、及び課外学習団体「昭和史研究会」での戦争資料を活用した実践を事例として報告するとともに、その実践を踏まえて戦争資料活用の方法や教育効果、意義、留意点などを考察する。歴史資料の効果的な活用は、新学習指導要領が掲げる思考力・判断力・表現力の育成に寄与し、高校生の無限の可能性を引き出してくれるものと考える。

  • 西淀川・公害と環境資料館と公害教育
    林 美帆
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 23 巻 p. 58-78
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    西淀川・公害と環境資料館は、大気汚染の公害裁判の資料を中心に保存している民間の公害資料館である。利用者拡大のために公害教育に注目した。ESD(持続可能な開発のための教育)という概念を活用して、公害地域の今を伝えるスタディツアーを実施して、公害を学びたい人たちの問いに答えることで、公害を学ぶ新しい意義を提供した。また、全国の公害資料館のネットワークを構築することで、公害の学びの一般化に着手し、公害資料館のビジョンを検討している。ESDという双方向の学びに注目することで、西淀川・公害と環境資料館は利用者を増やすことができた。また、公害資料館ネットワークにて、アーカイブズの重要性について相互の学びの中から理解を深めている。

  • 大学文書館における普及活動とその役割
    倉方 慶明
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 23 巻 p. 79-91
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿は東京外国語大学文書館における「自校史教育」を踏まえた、文書館における普及活動の一側面についての実践報告である。諸大学で自校史教育が実践されるようになって久しいが、大学文書館を有する大学では、自校史教育を所蔵資料の活用公開、普及活動の一環として位置づけ実践される場合も多い。しかし、普及活動は文書館活動とその資料の紹介や文書館への理解者の拡大に留まらない可能性を有している。むしろ普及活動は双方向的な情報共有、コミュニティ構築の端緒として捉えることで、広範な文書館活動に役立つ普及活動の在り方が見えてくるのではないだろうか。実践を通して見えて来た一案を提起したい。

参加記
小特集:2014年度第2回研究集会「わが国におけるアーカイブズの現状と課題 各国比較を踏まえて」
リレー企画「帝国の拡大とアーカイブズ」(3・完)
  • 植民地朝鮮支配・戦後処理の決裁構造と原本出所を中心に
    金 慶南
    原稿種別: シンポジウム
    2015 年 23 巻 p. 114-131
    発行日: 2015/12/31
    公開日: 2020/02/01
    ジャーナル フリー

    本稿の目的は、1910年から1952年まで、日本帝国の植民地支配とその戦後処理構造に対して、日本帝国と朝鮮植民地、GHQと占領地日本で行われた決裁構造と原本出所を明らかにすることで、記録史料学的な観点からアプローチすることにある。その結果、日本帝国政府と朝鮮総督府、GHQと従属的日本政府の上意下達式二重決裁構造によって、植民地支配と戦後処理に関する決裁原本はそれぞれ韓国、日本、アメリカ等に分散保存されることが明らかになった。これによって植民地支配とその処理問題を植民地時期・戦後を連続的に把握し、同時に、日本、朝鮮、米国という空間を総合的に考察することで、帝国と植民地・占領地記録をもっと構造的に再認識することが期待される。

書評
feedback
Top