2018 年 28 巻 p. 30-42
本稿の目的は、イタリア半島内の旧体制国家で作成された膨大な文書遺産をどのような人材の育成の仕組みと方法を通じて継承しようとしていたのか、明らかにすることである。特に文書管理の専門家であるアーキビストに求められる能力や選抜の方法、学校組織の変遷や教育、そして20世紀初頭の代表的なアーキビストを通じて、アーカイブズ理論の発展について明らかにする。
元々、古文書読解を主とした目的として、各地に古文書学校が設立された。しかし、アーキビストの職務が専業化するにつれ、求められる能力も高度化し、資格を取得するための門戸も狭められていった。一方で、アーカイブズ学を幅広い視点から高度に理論化し、実践的な能力を養うため、大学にも講座が設けられた。