2018 年 29 巻 p. 4-29
本稿では、民間組織における業務分析に基づく記録管理からアーカイブズ管理への一貫した流れを構築するための戦略や手法を、渋沢栄一記念財団の具体的な事例を通じて示し、その過程で浮き彫りになった課題や問題点について考察する。業務分析は、組織のコンテクストを理解したうえ、機能とプロセスの分析を通じて行う。記録は、そこから導き出された分類スキームにより制御・管理され、評価選別を経て、アーカイブズとして保存される。この過程では、組織のコンテクストを理解する必要性に加え、分析結果を実践へ応用する手法を紹介し、機能分析や、評価選別及びアクセス提供時に考慮すべき点を明らかにする。最後には、ISO15489を指標とし、この一連の過程を評価したうえ、課題と問題点についてさらに考察を深める。