2019 年 31 巻 p. 17-30
本稿では、日本の児童相談所や民間の児童福祉施設に保管される社会的養護に関する記録の保存について検討するとともに、記録がケアリーヴァーに与えた影響について考察する。日本においては、ライフストーリーワークなどにより、記録や情報管理の重要性が次第に認知されるようになってきた。しかしながら、社会的養護に関する記録の保存期間は、当事者運動が盛んなオーストラリアやイギリスに比較すると、決して長いとは言えず、当事者が記録へアクセスしたいと思っても、記録がいつでもアクセスできる状況とは言い難い。本稿では、民間の児童福祉施設における記録の管理と利用についての一例を示すとともに、当事者が記録へアクセスする上での課題について提示する。