抄録
小児歯科開業医における障害児歯科診療に関する実態について調査するために,日本小児歯科学会専門医認定医名簿(平成19 年3 月現在)上の1404 名の歯科医師へアンケートを送付し,該当する歯科医師450名(32.1%)より回答を得た。その結果,回答した小児歯科専門医や認定医は,臨床経験が26 年から30 年までの歯科医師が最も多く,臨床経験21 年から30 年までの歯科医師が,回答者の約半数(48.7%)を占めており,ベテランの小児歯科医師が,各地域で障害児も含め総合的に歯科医療を行っていることが示された。全患者数に対する障害児患者の割合は「1~5%未満」が最も多く,健常児との診療時間を分離している回答者は13.3%と少なかった。来院の動機は自意が最も多く,居住地は,「近所ではないが同じ市町村」が300 名で最も多かった。これらのことより,大部分の回答者が健常児と障害児の分け隔てなくかつ年齢の制限なく障害児に対して歯科医療を実践していた。本調査結果より,開業している小児歯科専門医や認定医は,障害児の口腔を健康に維持していくために障害児とその保護者が日常的に通い相談できる,かかりつけ歯科医の役割を果たしていることが示唆された。一方で,回答者に年齢的な偏りが認められ,現在活躍している小児歯科開業医から,その後身への障害児歯科診療の確実な継承に疑問が示され,今後,年齢間の情報・技術の伝達が重要になっていくと考えられた。