2008 年 9 巻 p. 12-34
アーキビストの資格問題の核心を探るには、その問題に関わる過去の論議の歩みを振り返ってみることが不可欠である。過去の論議史の整理それ自体、今後、アーカイブズの専門職問題を議論するための基盤づくりであり、素材提供でもある。この歴史的アプローチをもとにいくつかの提言を行いたい。
アーカイブズ運営の中軸はアーキビストであり、そのアーキビストは専門の養成機関で育成されるが、アーキビスト養成の問題はアーカイブズ学の研究体制の確立と密接不可分の問題として考えるべきである。そして専門職として社会的に位置づけられるには、資格制度や専門性を生かす人事制度が必要不可欠である。