2005 年 44 巻 p. 156-165
学級集団づくりの今日的な課題として, 生徒の対人関係における発達の問題が重要である。現今の生徒は児童期での集団遊びで身につけていた社会的なルールを学ぶ機会を逸し, 常に気の合うメンバーとだけで対立や葛藤の経験をせずに過ごしている。これらに替わる機能として, 仲間集団どうしのつき合い方を援助する学校行事の活用を事例により検討した。ここで, 仲間集団とは生徒が日常的にともに過ごす集団である。その結果, 次の2点を重要として指摘した。(1) 自己組織化システムとして集団づくりを促すために, 担任教師が生徒の協力的コミュニケーションに援助介入すること。(2) 担任教師が仲間集団の接触において協同を意味づけること。