教育心理学年報
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巻頭言
I わが国の教育心理学の研究動向と展望
  • 野澤 祥子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 1-15
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿では,2017年7月から2018年6月末までの1年間に『教育心理学研究』,『発達心理学研究』,『心理学研究』,Japanese Psychological Researchに掲載された論文,ならびに『日本教育心理学会第60回総会発表論文集』に掲載された論文のうち,乳幼児期と児童期を対象とした発達研究について整理・概観を行った。これらの研究を,研究の対象とする社会的文脈に着目し,「家庭の文脈に関わる研究」,「園・学校の文脈に関わる研究」,「『非定型』的文脈に関わる研究」,「子どもの発達に焦点化した研究」に分類した上で,そのそれぞれについて,研究の整理を行った。最後に,以上の整理に基づき,今後,取り組むべき研究の課題を提示した。

  • 永作 稔
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 16-29
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿は,2017年7月から2018年6月までの国内学会誌5誌と2018年9月に開催された日本教育心理学会第60回総会で発表された青年期から成人期,老年期までの発達的視点を有する研究を概観し,その現状と課題について論じることを目的とした。その際,まず日本教育心理学会第60回総会における研究発表について総覧し,つぎに学会誌論文の展望を行なった。総会の研究発表については青年期と成人期以降に分け,さらに青年期については学校段階ごとに分類して論じた。学会誌論文については,キャリア発達の視点から整理し,展望した。キャリア発達の視点とは,青年期においては(a)人間関係形成・社会形成能力,(b)自己理解・自己管理能力,(c)課題対応能力,(d)キャリアプランニング能力であり,成人期以降においては,(e)職業的成熟,(f)ライフステージ上の適応であった。最後に,青年期以降の研究における課題について議論した。

  • 深谷 達史
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 30-46
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿では,2017年から2018年に『教育心理学研究』に掲載された論文と,2018年9月に開催された日本教育心理学会第60回総会で発表された研究を中心に,近年の教授・学習・認知研究を概観した。レビューの一つの視点として「主体的・対話的で深い学び」に立脚し,子ども(学習者)の学びに関する知見を,主体的な学び,対話的な学び,深い学び,それぞれに関連する研究と,3つの学びを統合した授業デザインに関連する研究とに分け,整理した。また,新学習指導要領の理念を実際の教育として実現するためには,教師研究が重要となることから,大人(教師)の学びに関する知見をもう一つの視点として設定し,レビューを行った。その上で,(1)教師研究は重要であるにもかかわらず,本領域において数多くなされているとはいえず,教師の学びを明らかにするような更なる発展が望まれること,(2)実践への関心が高まっているにもかかわらず,実践カテゴリーの論文数は増えておらず,研究者が実践の機会を持つなど実践研究を行う基盤を構築する必要があることなど,今後の研究を進める上での課題と展望が示された。

  • 石田 靖彦
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 47-62
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿の目的は,過去1年間に発表された教育社会心理学の研究について概観し,今後の課題を述べることであった。前半では,日本教育心理学会第60回総会における教育社会心理学に関する発表を過去の発表と比較して近年の動向を概観した。発表されたテーマは,「教師」,「適応」,「社会的スキル・社会性」,「対人関係」,「授業」の順で多く,上位4つのテーマは過去3年間でも上位にあり大きな変化は見られなかった。「授業」に関する発表は,過去2年で増加していることが示された。後半では,2017年7月から2018年6月までに刊行された教育社会心理学に関する研究論文を概観した。研究内容から,「教師・学校組織」,「学習・動機づけ」,「学級集団・適応」,「対人関係」,「社会性」の5つのテーマを設定し,テーマごとに研究論文を概観し,最後に今後の課題を述べた。

  • 酒井 恵子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 63-74
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     パーソナリティ特性を,単純な「数直線」ではなく「多面体」として捉え,多面性・多様性を含んだものと考える立場から,2017年7月から2018年6月までの1年間に『教育心理学研究』に掲載された論文,および,日本教育心理学会第60回総会における発表やシンポジウムを中心に,いくつかのパーソナリティ研究を取り上げ,(a)特性の多面性を意識した研究,(b)尺度項目の多様性を意識した研究,(c)個人内の構造を意識した研究,に大別して論評した。さらに,「パーソナリティ特性にマイナス極が存在するか」という問題についても論じた。

  • 高野 明
    原稿種別: 巻頭言
    2019 年 58 巻 p. 75-91
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本論考は,日本における臨床心理学の最新の研究動向と課題を概観するものである。まず,日本教育心理学会第60回総会において発表された研究(ポスター発表39件)とシンポジウム(16件)を概観し,次に,2017年7月から2018年6月の間に,『教育心理学研究』や関連する学術雑誌に掲載された77本の論文を対象に,臨床心理学分野における最新の研究動向について概観し,研究テーマ,研究対象,研究方法の観点から整理した。最後に,臨床心理学研究における課題と今後の可能性について議論した。

  • 菊池 哲平
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 92-101
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿は,2007年の特別支援教育の開始以降,わが国の教育心理学的研究がどのようなエビデンスを提供してきたのかについて,エビデンス・レベル分類(案)による概括を行うものである。2007年以降に学会誌に掲載された585本の研究論文について,研究デザインを基にしたエビデンス・レベル分類を行った。論文発表数としては「自閉症スペクトラム障害」と「発達障害全般」が多かったものの,「聴覚障害」「言語障害」「ADHD」のエビデンス・レベルが高かった。「自閉症スペクトラム」及び「発達障害全般」に関する研究は,シングル・ケース・デザインに基づくものが多いため,これらの研究に対してシステマティック・レビューを行うことでエビデンス・レベルを高めていくことが考えられた。さらに2007年以降は「通常の学級」をフィールドとした研究が多く発表されており,エビデンス・レベルも比較的高かった。一方,「特別支援学級」をフィールドとした論文は少なく,これからの取り組みが期待される。結果として,教育心理学的研究が特別支援教育の有益なエビデンスを提供していることが示唆された。

  • 髙橋 亜希子
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 102-118
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿は,主として2017年7月から2018年6月までに日本で発表された学校心理学に関する研究の動向を捉え,今後の学校心理学分野についての展望を論じるものである。教師も多忙化の中で生徒指導に関する課題を抱え,教師自身もメンタルヘルス等の問題を抱えている。そこで,本稿では,学校心理学がこれからの子ども支援・生徒指導に対して寄与できる可能性の検討をテーマとし,①学校教育の中での生徒指導の位置づけと,教師が担ってきた役割の検討,②日本教育心理学会第60回総会における学校心理学部門の発表の動向の検討,③研究論文による学校心理学の研究動向の検討,を行った。その結果,生徒指導をめぐる多くの課題が取り扱われ,多様な心理教育・予防教育プログラムが開発される一方,教職員の多忙により,学校の研究協力や心理教育プログラムの実施が困難になっていること,教師やカウンセラーなどの支援の在り方,子どもとの相互作用に関する研究が限られ,支援の意味の検討までには至る研究はなかったことである。そのため,生徒指導における教師の実践的思考に焦点を当てる必要性を提起し,該当する研究・実践の提案を行った。

  • 登藤 直弥
    原稿種別: I わが国の教育心理学の研究動向と展望
    2019 年 58 巻 p. 119-130
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     本稿ではまず,この1年間に『教育心理学研究』で発表された29編の論文を対象に,利用された研究法について概観して,『教育心理学研究』に掲載された研究の典型を導き出した。次に,これを踏まえたうえで,これらの研究で実施された測定・評価についても概観し,『教育心理学年報』の「測定・評価・研究法」部門の論文においてなされた提言がそれらに活かされているとは必ずしもいえないことを明らかにした。加えて,日本教育心理学会第60回総会において「測定・評価・研究法」部門の研究として発表されたものに関しても,測定・評価・研究法という観点から現状を概観し,その特徴について,『教育心理学研究』に掲載された論文との違いを明らかにした。最後に,これらの検証結果をふまえて,日本の教育心理学の研究実践に,今後,測定・評価・研究法に関する提言を取り入れていくための方策について,筆者なりの提言を行った。

II 展望
  • 野澤 雄樹
    原稿種別: II 展望
    2019 年 58 巻 p. 131-148
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     テストが測定対象とする学力が,基礎的な知識・技能を中心としたものから高次思考スキルを重視したものに移行するのに伴い,受験者に解答の生成を求める形式の項目が多用されるようになってきている。この傾向は歴史的に選択式項目が広く用いられてきた米国において顕著であるが,国内においても,大学入学共通テストで部分的に記述式項目が出題されることになるなど,類似した動きが見られる。一方で,記述式項目を含んだテストの運用にはさまざまな課題が存在しており,それらを解決するために教育測定の理論面および実践面での強化が求められる。本稿では,記述式項目を使用する際に考慮すべき教育測定学的なテーマのうち,(a)項目形式が測定に与える影響,(b)記述式項目を含んだテストにおける等化,(c)テストの使用がもたらす結果の検証,の3つを取り上げた。これらのテーマは,国内では議論されることが少ないものの,妥当性との関連が深い重要なテーマである。各テーマについて,研究が進んでいる米国での議論を参考に,今後必要となる研究について考察した。全体考察では,日米の違いや,国内の教育測定学が抱える課題について指摘した。

  • 小林 寛子
    原稿種別: II 展望
    2019 年 58 巻 p. 149-166
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     科学技術の発展は目覚ましく,それに対応できる資質・能力を育むことは,自然科学を対象とする理科教育において喫緊の課題と言えよう。本稿は,理科教育が果たすべき役割について心理学の観点から検討しようとするものである。折しも,2017年3月に公示された学習指導要領,及び,それに先立って発表された中央教育審議会の答申には,心理学的観点が数多く含まれた。本稿では,そうした観点の1つである,学習者の立場で「何ができるようになるか」を考えるという点を取りあげ,心理学研究を概観する枠組みとして用いた。具体的には,学習者が学習の過程で抱える困難を明らかにする研究,及び,困難の克服を目指す指導法を提案し,その効果を検証しようとする研究に特に焦点をあてた。さらに,それらを,理科教育を通して「できるようになること」,すなわち,育成が目指される資質・能力の3つの柱(知識及び技能,科学的に探究する力,科学的に探究しようとする態度)ごとに整理して示した。そうしてまとめた研究の知見を受け,最後に,これからの理科教育と心理学研究における課題について論じた。

III 教育心理学と実践活動
  • 川崎 直樹
    原稿種別: III 教育心理学と実践活動
    2019 年 58 巻 p. 167-184
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     自己愛の問題を抱えた人への理解と支援は,教育を含む対人援助の領域において重要な課題である。その研究の主流は実践事例に基づく理論的研究であったが,近年は実証的な知見も増加しつつある。本稿では自己愛に関する実践的な研究と実証的な研究の双方を概観しながら,理解や支援への示唆を探ることを目的とする。実践事例に基づく精神力動論的な議論から自己愛的なパーソナリティ構造に関する見解が提起されている一方で,DSMに基づいた臨床群対象の研究や,一般的なパーソナリティ特性に関する研究は,それを検証したり,簡略化したり,異なる視点を提供したりしている。それらを概観しながら,自己愛的な自己システムにある矛盾やその統合の過程,二者関係の中で生じる対人的・感情的な過程についての議論が行われた。

  • 小野田 亮介
    原稿種別: III 教育心理学と実践活動
    2019 年 58 巻 p. 185-200
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     自分の意見を分かりやすく説得的に文章化する能力は,学校教育での活動(e.g., 作文,学級新聞,小論文,レポート,論文などの執筆)のみならず,社会生活(e.g., 意見書や要望書の執筆,企画の提案から書面での交渉)を営む上でも重要になる。したがって,学校教育を通した意見文産出能力の育成は,学校教育以降を見据えた長期的な視点のもとで計画され,実行されるべきだといえる。本論文では,学校教育における意見文産出指導について「誰に,何を,どう書くか」という3つの観点から検討した。具体的には,それぞれの観点を「誰に:読み手意識」,「何を:理由想定」,「どう:意見文スキーマと産出方略」といったキーワードで捉え,(1)観点ごとに関連する先行研究を概観し,(2)学校教育での指導で課題となりうる点を指摘するとともに,(3)それらの課題に対応する指導方法について提案した。最後に,全体の議論をふまえて今後の意見文産出研究,および意見文産出指導の展開について考察した。

IV 討論
  • 若松 養亮, 白井 利明, 浦上 昌則, 安達 智子
    原稿種別: IV 討論
    2019 年 58 巻 p. 201-216
    発行日: 2019/03/30
    公開日: 2019/09/09
    ジャーナル フリー

     日本の進路指導では長い間,「合格すること」に偏重した指導を行ってきたという批判がある。2004年にキャリア教育が始まって以降も,「キャリア=職業」という誤解のために,「夢やつきたい職業見つけ」ばかりが盛んに扇動されるが,その手段や方法が指導されず,キャリア発達を高める指導も二の次にされる弊害がある。本論文では,進路意思決定,時間的展望,自己効力感,ジェンダーの4つの研究の蓄積をもとに,それを超える指導とはどのようなものか,また進路指導やキャリア教育で目標とされる「社会的・職業的自立」に結びつく支援はどのようなものかが論じられた。最後の節では,4つの論考をふまえて,今後の進路指導とキャリア教育への提言が論じられた。

V 日本教育心理学会第60回総会
準備委員会企画 招待講演
準備委員会企画第60回記念シンポジウム
準備委員会企画学会合同シンポジウム
準備委員会企画シンポジウム
準備委員会企画チュートリアルセミナー
研究委員会企画シンポジウム
研究委員会企画チュートリアルセミナー
VI ハラスメント防止委員会企画講演
VII 日本教育心理学会 公開シンポジウム
VIII 第53回(2017年度)城戸奨励賞
IX 第16回(2017年度)優秀論文賞
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