アレルギー
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Agar-Bullet法による腹腔細胞の吟味(第1報)
竹内 広中島 壮太福田 純也山口 寿夫影山 圭三
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1970 年 19 巻 11 号 p. 810-817,859

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抄録

従来, 遅延型アレルギー反応の組織表現と考えられる肉芽腫形成に際して, いわゆる細胞性抗体の関与が重要視される.今回われわれは, 生体内局在する抗原または移入された異物または抗原抗体複合物に対して好中球を含む腹腔細胞がいかなる態度を示すか次のごとき実験を行なつた.寒天内に各種の蛋白質または非蛋白生物質を3%の割合で混じ, 径0.2cmの中心棒を作り外周を3%かの純寒天で被覆した後, モルモット腹腔内に挿入し, 経時的にとり出して中心棒内への腹腔細胞の侵入, 反応態度を観察した.結果 : 無処置群, albumin及びγ-globulin感作群のいずれにおいても, 分子量10×10^4以上のγ-globulin, Polyvinylpyrrolidone, dextranにおいては, 好中球を含む腹腔細胞が寒天内に侵入, 反応したが, albumin, 低分子のPVPとdextranでは反応はみられなかつた.以上の結果から細胞の反応を左右する要因として, 異物の大きさが重要な意味を有すること, 及びいわゆる細胞性抗体のみがそれを保有する細胞反応を規定するものではないことを知つた.

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© 1970 日本アレルギー学会
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