アレルギー
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専門医のためのアレルギー学講座 39.粘膜免疫と免疫寛容
ガイドラインのワンポイント解説
綜説
原著
  • ―原因抗原としてのエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートの可能性―
    飯島 茂子, 沼田 充, 佐々木 和実
    2020 年 69 巻 8 号 p. 669-677
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/18
    ジャーナル 認証あり

    【背景】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎の抗原決定基については,いまだ完全には明らかにされていない.

    【対象】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した36 歳女性.

    【方法】使用していたゴム手袋,ジャパニーズスタンダードアレルゲンおよびその成分,および手袋の化学分析にて検出された物質を用いてパッチテストを行った.

    【結果】ニトリルゴム手袋,チウラムミックス,ジチオカルバメートミックス,テトラメチルチウラムジスルフィド,ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛が陽性,テトラメチルチウラムモノスルフィド,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛が疑陽性であった.手袋の化学分析でエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートが検出され,これらのパッチテストもともに陽性であった.

    【結語】自験例をエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートによって感作された接触皮膚炎と診断し,これらアルカリイソチアネートが原因抗原となりうると考えた.加硫促進剤不使用のニトリル手袋は,代替として推奨できる.

症例報告
  • 佐々木 真知子, 清水 薫子, 鈴木 正宣, 鈴木 雅, 中丸 裕爾, 今野 哲
    2020 年 69 巻 8 号 p. 678-682
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/18
    ジャーナル 認証あり

    症例は66歳の好酸球性副鼻腔炎を合併した難治性喘息患者.ベンラリズマブ開始後,喘息症状は著明に改善し,末梢血好酸球数は0/μlとなり,月に数回程度使用していた頓用の経口ステロイドも不要となった.しかし,投与開始後7カ月目で喘息症状は再燃し,好酸球数は813/μlと増加したため,メポリズマブへ変更したところ,喘息症状に加え鼻症状も改善した.以上の経過からベンラリズマブに対する中和抗体が産生された可能性が考えられた.中和抗体は日常臨床において測定できないため,中和抗体産生に関する症例報告は認めない.本症例においても疑いにとどまるが,臨床経過からはその可能性は高い.また本症例の鼻症状はベンラリズマブへは反応が乏しく,メポリズマブで改善した.生物学的製剤の臓器における治療反応性の違いも重要な観点である.以上から,本症例は生物学的製剤の特色を多面的に反映した経過を示し,報告の価値は高い.

  • 木村 友之, 鈴木 慎太郎, 菅沼 宏充, 佐藤 裕基, 秋本 佳穂, 賀嶋 絢佳, 松永 智宏, 江波戸 貴哉, 山本 成則, 宇野 知輝 ...
    2020 年 69 巻 8 号 p. 683-688
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/18
    ジャーナル 認証あり

    40歳代,男性.飲食店内で作業中,左肩に刺されたような痛みを覚え,その後全身に掻痒を伴う皮疹,眼球結膜の充血,口唇腫脹,冷汗,嘔気を認め,救急外来を受診しアナフィラキシーと診断された.後日行った,患者血清を用いたfluorescence enzyme immunoassayでハチ特異的Immunoglobulin E(IgE)が陽性を示していた.昆虫アレルギーを疑い,刺咬されたものと同種の昆虫を採取し,鑑定でオオハリアリと同定された.虫体を乾燥・粉砕し検査試薬を作製した.患者血液を同試薬で刺激した好塩基球活性化試験で陽性を示した.同試薬を用いたプリックテストでも陽性を示し,濃度依存性に反応が増強していた.以上より,本症例はオオハリアリの刺症後に生じたアナフィラキシーと診断した.アレルゲンコンポーネント特異的IgE検査の結果から,本症例の原因アレルゲンの一つとしてオオハリアリのグループ5アレルゲンが考えられた.オオハリアリの虫刺症に続発するアナフィラキシーは韓国を中心に報告されているが,本邦における学術的著述は少ない.屋内で発生する事例があることにも注意する.

特集
  • 岡本 美孝, 大田 健, 鈴川 真穂, 大田 進, 岡野 光博, 櫻井 大樹, 田下 浩之
    2020 年 69 巻 8 号 p. 689-700
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/09/18
    ジャーナル 認証あり

    抄録:国内も含め,世界的にアレルギー性鼻炎に対する患者負担や経費は急速に増加しており,治療戦略の変換が求められている.薬物療法に対する次世代のガイドラインの開発とアレルゲン免疫療法(AIT)に対する統合的なケアパスの策定が必要である.

    エビデンスの確実性を評価し,推奨の強さを決定する透明性の高い診療ガイドラインの作成法であるGRADE(Grading of Recommendations, Assessment, Development and Evaluation)システムにより作成されたARIA-GRADEガイドラインについて検証が行われた.その結果,2016年改訂版のARIAと2017年発表の米国の季節性アレルギー性鼻炎に対するガイドラインは独立してGRADEシステムを活用して薬剤の推奨を検討していたが,その推奨結果は同様なものであった.飛散室を用いた検討は薬物治療効果の発現の評価に優れているが,試験結果からは鼻噴霧用抗ヒスタミン薬と鼻噴霧用ステロイド併合薬の効果発現が最も早く見られており,ガイドラインでの薬剤の推奨に有用であった.モバイル技術を用いたアプリを利用した実臨床での検討では,多くの患者が自己判断で治療をしており,ガイドラインは活用されていないこと,治療のアドヒアランスが不良で,患者自身がオンデマンドで治療している現状,さらに薬物使用の解析から使用薬剤の有効性の違いが明らかになった.

    これらの知見から,VAS(visual analogue scale)による評価をもとに治療内容のステップアップ,ステップダウンを図るといった,薬物治療のアルゴリズムを含む次世代の新たなARIA-GRADEガイドラインが提唱され,デジタル化されアプリとして使用が開始された.AITはアレルギー性鼻炎に対する確立された治療選択肢であるが,有効性,安全性が検証された標準化エキスを用いて行われなければならない.安全性の視点から皮下免疫療法,舌下免疫療法の特徴を把握する必要があること,患者の視点として患者への免疫療法に対する十分な情報提供が必要であること,薬剤師の役割の重要性,アレルギー非専門の家庭医の役割についても検討する必要がある.AITの適応は,患者の重症度や経済的な背景を考慮して決定されるが,原因アレルゲンの確定,免疫療法に対する患者の十分な理解が必要である.多重感作陽性者,小児に対しても良い適応ではあるが,喘息の発症抑制効果についてはさらなる検討が必要である.

    AITは有効な治療法であるが,国により費用負担は異なり,費用負担が高い多くの国では適切な薬物療法により効果が乏しい患者で,かつ治療内容の共有を十分に行うことができた患者が対象となる.

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