アレルギー
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気管支喘息における金療法の作用機序に関する研究 : その1 金療法と副腎皮質機能について
田沢 稔
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1975 年 24 巻 1 号 p. 27-41,82

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抄録

気管支喘息における金療法の作用機序は未だ十分に解明されていないが, この機序の一つを調べる目的で, 金療法と副腎皮質機能との関連につき検討した.対象は42例の気管支喘息患者で, 金製剤としてgold sodium thiomalateを総計1850mg筋注した.副腎皮質機能はrapid ACTH試験により血漿cortisol前値および合成ACTH 250μg負荷60分値を測定して検査し, 同時に血清金濃度も測定した.以下の成績を得た.1)気管支喘息患者の副腎皮質機能は, 金療法前では重症, 慢性型および長期罹病者ほど低下を示した.2)金療法前に機能低下を示した33例中21例に, 金療法後に機能の改善がみられた.3)臨床効果は31例に有効が認められたが, 副腎皮質機能の改善とは必ずしも一致しなかった.4)血清金濃度は投与量と平行して増加し, 治療後の平均血清金濃度は633μg/100mlであった.しかし臨床効果および副腎皮質機能の改善との関係は特に認められなかった.以上の成績より, 気管支喘息における金療法の作用機序の1つとして, 金の副腎皮質賦活作用が推論された.

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© 1975 日本アレルギー学会
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