アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
Papaverine によるヒスタミン遊離抑制とその作用機序について
杉山 勝三
著者情報
ジャーナル フリー

1977 年 26 巻 6 号 p. 490-496,515

詳細
抄録

1.papaverine は, compound 48/80 や抗肥満細胞血清などの種々なヒスタミン遊離物質によるヒスタミン遊離を抑制したが, 抑制に要する papaverine の濃度は遊離物質の種類によって著しい差があった.2.compound 48/80のヒスタミン遊離を抑制する papaverine の作用は, Ca^<++>の不在下に最も著明であるが, Ca^<++>の増加とともに減弱した.しかし, Ca^<++>が存在しても papaverine の作用時間を長くするとヒスタミン遊離抑制がみられた.Ca^<++>と同様な効果はBa^<++>やMg^<++>にもみられた.3.compound 48/80によるヒスタミン遊離に対する papaverine の抑制効果は, compound 48/80の濃度を増加しても変らなかった.また papaverine を作用させた細胞を1回洗うとヒスタミン遊離能が復帰した.4.papaverine は単核球および Ehrlich 腹水癌細胞の Con A による cap 形成を阻害した.またリボソームや Ehrlich 細胞の膜流動性を低下させ, 赤血球からのリゾレシチンによる K^+ の遊出を阻止した.以上の結果は, papaverine の細胞膜安定化作用がヒスタミン遊離抑制に関連していることを示唆している.

著者関連情報
© 1977 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top