アレルギー
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血小板膜抗原に関する研究 : ウサギ抗 Daudi 細胞血清とヒト血小板との反応
吉田 浩粕川 礼司吉田 赳夫
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1978 年 27 巻 11 号 p. 850-855,879-88

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抄録

ヒト血小板表面膜抗原の解析のため, β_2-mや HLA の存在しない Daudi細胞に対するウサギ抗血清を作成し, 混合凝集反応にて検討した.この抗血清と10人の健常ヒト血小板との反応はほぼ同等で, 凝集素価は 25600前後であつた.各種哺乳動物の有核細胞(腎・脾), 血小板・赤血球などでの吸収を行うと, ヒトの脾細胞, 血小板では著明な吸収がみられたが, 赤血球による吸収はみられなかつた.チンパンジー血小板・日本ザル腎細胞による吸収も明らかであつたが, 他の哺乳動物(ウシ・ウサギ・モルモット・ラット・マウス)の腎や脾細胞による吸収で, ヒト血小板に対する凝集抗体価の低下はみられなかつた.以上のごとく, 抗Daudi細胞血清と反応する血小板膜抗原はヒト血小板や有核細胞のみならず, チンパンジーやサル細胞にも共通して存在していることを示すものであり, 種特異抗原と考えられた.チンパンジー血小板と各種のヒト細胞・細胞膜抗原に対するウサギ抗血清との反応ではいずれも強陽性であり, ヒトとサルとの間では, 有核細胞や血小板の表面膜抗原の中には β_2-m のみならず, 未同定抗原をも含め, 共通する抗原(群)の存在が考えられた.

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© 1978 日本アレルギー学会
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