アレルギー
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Polyethylene Glycolによる小児免疫疾患の血中Immune Complex : 第2編 川崎病(MCLS)の血中Immune Complexについて
浅古 和弘
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1979 年 28 巻 11 号 p. 825-835

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抄録

川崎病患者の血中immune complexをpolyethylene glycol(PEG)沈降法により経時的に検索し, 症状との関連性を検討した.8ヵ月から5才までの男児12例, 女児11例の計23例について, 4%PEG(ただしIgMは3%を使用)を用いて可溶性immune complexを沈降させ, そのcomplexを形成しているIgG, IgA, IgMおよび補体C3などの成分をradial immunodiffusion法で測定し, PEG precipitated index(PP index)を下式により算出した.PP index=(沈降immunoglobulin量)/(全血清immunoglobulin量)×100(%)その結果, (1)6ヵ月から6才までの正常児17例のPP indexは, IgG11.0 ±2.18(%), IgM16.16±4.55(%)であり, 平均値+2SD以上を血中immun complex陽性とした.IgAと補体C3では, PEGでの沈降量が微量のため, PP indexとして表すのは不可能なので沈降量で表し, 測定できる最小値以下, IgAでは4.7mg/dl以下, およびC3では38mg/dl以下を正常値とした.(2 MCLS患児では, IgGのimmune complexは23例中16例に, IgAのimmun complexは23例中18例に, IgMのimmune complexは13例中11例に, 補体C3のimmune complexは23例の全例にみられた.2)血中immune complexは, 経過中に再燃のみられなかった多くの例では病初期高値を示し, 経過とともに低下した.再燃した例では病初期低値であり, 経過とともに上昇し, 再燃時高値であった.第47病日に冠動脈血栓で死亡した症例では, 病初期低値であり, 経過とともに上昇し, 発症より2-3週目および5-6週目に高値を示した.3)ステロイド剤(prednisolone)を治療として使用した症例と使用しなかった症例との血中immune complexの変動に差はみられなかった.

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© 1979 日本アレルギー学会
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