アレルギー
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即時型アレルギー反応におけるProtein Kinase(PKase)の意義(第1報) : Peritoneal Exudate Cell(PEC)のPKaseと脳および肝臓のPKaseとの比較, ならびにHistamine遊離との関係についての検討
黒沢 元博今村 記明中田 勝彦江田 昭英
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1981 年 30 巻 5 号 p. 266-273

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抄録

PECのPKaseを脳および肝臓のPKaseと比較し, histamine遊離との関係についても検討した.1)酵素作用時間が5および20分間のいずれの場合も, PECのPKase活性はcAMP無添加では脳の約1/2, 肝臓の約2倍であり, cAMP添加では脳の約1/2, 肝臓とほぼ同程度であった.cAMP添加でPKase活性は肝臓では5および20分間のいずれも有意に, 脳では5分間の場合に有意に増大したが, PECでは軽度の増大傾向を示すにすぎなかつた.2)10^<-11>-10^<-3>M・cAMPをPECのPKaseに作用させた場合, 5分間の酵素作用時間では2×10^<-6>M, 20分間では10^<-5>Mによって活性は軽度に増大した.3)酵素作用時間の延長とともにPECのPKase活性はcAMPよって軽度に増大した.4)PEC, 脳および肝臓の酵素液をgel filtrationすると, いずれもPKase活性は2峰性を示し, PECでは第1峰は第2峰に比して小で, 脳ではその逆であり, 肝臓では第1峰と第2峰の活性はほぼ同値であった.第1峰の活性はcAMPによって約2倍に増大したが, 第2峰の活性には影響がみられなかった.5)抗原によるPECからのhistamine遊離は, 1分後に最大となり, その後はplateauを示した.PKase活性は抗原の添加により0-5分では有意な変動はみられなかったが, 10分後に増大傾向を示した.以上の成績から, PEC中にはPkaseが存在することが明らかであり, その活性はcAMPによって著明な影響をうけないので, 主として遊離型のPKaseとして存在するものと思われ, PKaseはhistamine遊離後の修復過程に関与するように思われる.

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© 1981 日本アレルギー学会
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