1982 年 31 巻 4 号 p. 233-243
Hamiltonの方法を改良して, アレルゲンpaper discを用いて, 簡単に特異IgG抗体を測定する方法を案出しようと, 今回の実験を行った.アレルゲンpaper discに100倍希釈した被検血清を注ぎ, 3時間のincubation後, ^<125>I標識protein A液100μl(約5万cpm)を添加してovernight incubationし, discを5回洗浄して放射能を測定する.総放射能よりdisc結合放射能%を算出し, これをIgG抗体価とした.本法について, inhibition testで特異性を確認し, 再現性も極めて良好であることを明らかとし, 臨床応用も可能と判断された.ハウスダスト(ダニ), スギ花粉, カモガヤ花粉, ヨモギ花粉などの抗原による気道アレルギー患者について, 本法による特異IgG抗体測定を試み, ダニ抗原に対しては花粉抗原に比して著しく高いIgG抗体価を示す例が多く, また, ダニ抗原では, 健康者や未治療患者でもやや高いIgG抗体価が測定された.IgG抗体の測定結果とIgE抗体の動態検索より, 減感作療法奏効機序について考察を加えた.