アレルギー
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小児気管支喘息における ^<81m>Kr 肺換気像を利用した吸入誘発試験の検討
杉本 和夫鳥羽 剛内山 暁有水 昇
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1982 年 31 巻 6 号 p. 324-333

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抄録

薬剤や抗原の吸入誘発試験において, 最終目的吸入量を室内塵で10倍液1ml, PGF_<2α> は100mg, メサコリンは4mgとして, 全体をそれぞれ20mlに蒸留水で希釈し, 超音波ネブライザーにて噴霧し吸入させるとともに, ^<81m>Kr 換気像を連続的に追い, 臨床症状ないし換気障害像の出現より, 誘発試験の成績を評価し得た.また残り液量を測定し前値より差し引いて吸入量が算出でき, 反応閾値が1回の吸入誘発試験で判定しえた.本法による吸入誘発試験で, 症状出現ないし換気障害出現時点で誘発物質の吸入を中止することにより, 従来の諸法に比し強発作を誘発することがなく, 被検者に与える負担が少ない.また誘発後に気管支拡張剤の投与の必要もなく, 自然経過を追うことができる.この点で, 抗原吸入誘発における late reaction の検索上, 有用な誘発法の1つと思われた.吸入誘発試験中に ^<81m>Kr の放射線や換気像を連続的に追うことにより, 誘発による換気障害を量的, 部位的, かつ動的にとらえられ, 本法は臨床上非常に有用と考えられた.

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© 1982 日本アレルギー学会
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