1983 年 32 巻 11 号 p. 1093-1098
40才以後発症の気管支喘息18症例について, 皮膚反応, 血清総IgE値, 特異的IgE, 抗ヒトIgEによる好塩基球からの histamine release などの臨床的検討を加えた.これらの症例では, 一般的にアレルギー疾患の家族歴を有するものが少なく, 血清総IgE値も低い傾向を示した.抗ヒトIgEによる histamine re1ease は血清総IgE値とは関連がなく, むしろ以下のごとく, アレルゲンエキスに対する皮膚反応とある程度の関連を示した.1. 皮膚反応陰性の症例群では, 抗ヒトIgEによる好塩基球からの histamine release は全般的に少なく, 一方 house dust の皮膚反応陽性の症例群ではかなり高度な histamine re1ease がみられた.2. Candidaにのみ陽性皮膚反応を示す症例群では, 抗ヒトIgE添加時の histamine release が高度にみられる症例と, ほとんどみられない症例の2群が明らかに観察された.