1983 年 32 巻 5 号 p. 289-295
PHAで刺激したヒト末梢単核球培養上清をモルモット回腸に前処置すると, ヒスタミンによる筋収縮が増強する.この平滑筋収縮増強因子は, 分子量1000以下であり, 60℃, 60分間の加温によっても矢活せず, atropineやtetrodotoxin, FPL 55712, indomethacinでは収縮増強作用は影響を受けなかった.indomethacinであらかじめ単核球を処理しておくと, この因子の産生は完全に抑制された.classical prosta-glandinも平滑筋収縮増強を示したが, 活性をもつ培養上清中のprostaglandin量を測定したところ, 極めて微量で収縮増強を示す量ではなかった.これらの事実から, 平滑筋収縮増強因子はアラキドン酸カスケードのcyclooxy-genase pathwayの産物で既知のprostaglandinとは異なったものである可能性が考えられる.