1986 年 35 巻 1 号 p. 67-72
マウス骨髄前駆細胞に及ぼすゲンタマイシン(GM)の直接毒性と免疫学的機序の介在を検討するためにCFU-c(colony forming of unit culture)と酵素免疫測定法(EIA)を用いて次の結果を得た.(1)5μg/ml以上のGMは, 骨髄幹細胞に直接的な毒性作用を示した.(2)1mg/kg/dayのGMを4週間連続皮下投与したマウス血清中には, GMに対するIgG抗体が出現した.(3)マウス血清中に出現した抗GM抗体は, GMとの共存下でマウス骨髄幹細胞を障害しコロニー形成を抑制した.(4)抗GM抗体とGMとの反応系にマクロファージを共存させると細胞媒介性障害作用の介在が示唆されるコロニー形成の抑制を認めた.