1986 年 35 巻 2 号 p. 112-117
B6.C-H-2^<bm12>マウスは, C57BL/6マウスのI-A subregionにmutationをおこし, ウシインシュリンに対してlow responderとなっている.しかし同様にウシインシュリンに対してlow responderであるB10.Aマウスとの間のF_1 hybridsはhigh responderであり, gene complementationをおこしているものと考えられる.この(B10.A×B6.C-H-2^<bm12>)F_1マウスのウシインシュリン抗原に反応するTリンパ球をクローニングし, ウシインシュリンにのみ反応し, adjuvantとして用いたPPDや無関係な抗原であるOVAには反応しないウシインシュリン特異的クローンを得た.これらのクローンには, ウシインシュリンに存在しブタインシュリンに存在しない部位であるA chain loop(A8-A10)を抗原決定基として認識するものと, ウシ及びブタインシュリンに共通するnon A chain loop(A4またはB chain)を認識するものとの少なくとも2つの異なる特異性をもつクローンが存在した.またこのF_1マウスは, la.W39を発現しておらず, ウシインシュリンのA chain loopの認識とla.W39の発現とは密接に関係するという従来の考えが誤りであることを証明した.