1986 年 35 巻 5 号 p. 320-328
気管支喘息患者6名のテオフィリン(TPH)体内動態及び呼吸impedanceを検討した.TPH徐放錠をloading dose 600mg, maintenance dose 300mgを連続投与した.TPH濃度はsubstrate-labeled fluorescent immunoassay法で測定し, pharmacokinetic parametersはNONLINプログラムを用いてone-compartment modelにより解析した.そのparametersは分布容量0.336±0.054l/kg, クリアランス34.17±3.54ml/kg/h, 吸収速度定数0.227±0.053h^<-1>, 消失速度定数0.101±0.015h^<-1>であり, 定常状態の血中TPH濃度は6名中4名が10-20μg/mlを維持した.一方, forced oscillatory techniqueを用いて測定した呼吸 impedanceはTPH連続投与後の定常状態時84及び96時間で改善が認められ, 8μg/ml以上の血中TPH濃度で改善されもしくは不変であることが示唆された.さらに, 定常状態のtrough血中TPH濃度と唾液中濃度との相関について検討したところ有意に高い相関(n=18, r=0.993, p<0.001)が得られた.唾液/血中濃度比は0.58±0.01で, その変動は9%と小さく, 唾液から血中濃度の予測は可能であることが示唆された.