1987 年 36 巻 9 号 p. 838-847
気管支喘息発作におけるロイコトリエン(LT)の役割を明らかにするため, 7人の正常者と26人の喘息患者のLTD_4気道反応性を比較した.また同喘息患者におけるアセチルコリン・ヒスタミンの気道反応性との関連も検討した.アセチルコリン, ヒスタミン吸入試験は標準法で, LTD_4吸入試験はジリコナイズしたガラスネブライザーを用い, 1ml全量吸入法で行われた.気道反応性はFEV_<1.0>を20%低下させるに要する総吸入量または単位(PD_<20>)で表示した.喘息患者ではLTD_4のPD_<20>は30ng-14990ng, 平均562ngで, 正常者の40倍以上の過敏性をみとめた.さらにアセチルコリンおよびヒスタミンのPD_<20>とそれぞれγ=0.690(p<0.001), γ=0.628(p<0.001)の有意相関を示した.ネブライザーのoutputを考慮し, PD_<20>で比較したLTD_4の気道収縮力は, ヒスタミンの約200倍, アセチルコリンの約700倍であった.また, PD_<20>-LTD_4と重症度との間に関連がみられ, 重症ほどPD_<20>が低い傾向を示した.これらの結果より, 喘息での気道収縮におけるLTD_4の役割の重要性が示唆された.