正常および各種皮膚疾患における生検組織の真皮内マスト細胞(MC)を組織化学的, 電顕的に観察し, その多様性について検討した.正常皮膚で観察されたMCは各組織化学的染色に反応し, 特にナフトール・ASD・クロロアセテート・エステラーゼ染色(NCE)に最も明瞭に染色された.電顕的には渦巻き(scroll)構造優位型(S型)で結晶(crystal)構造を有していた.一方各炎症巣におけるMCは各染色に対する反応性が低下し, アルシアンブルー(AL)陽性, サフラニン(SF)陰性を示した.これらは電顕的に粒子状(particulate)構造優位型(P型)で顆粒間融合, 迷路形成が認められた.このことからCTMCの典型と考えられている真皮内MCにも幅広い多様性があるものと考えられた.