アレルギー
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気管支喘息患者におけるダニ抗原刺激による末梢血単核球培養上清中の好酸球遊走活性の検討
福島 康次福田 健牧野 荘平
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1991 年 40 巻 2 号 p. 108-116

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抄録

気管支喘息の病理組織学的特徴の一つである気道粘膜内好酸球浸潤におけるリンパ球の役割を検討するため, 喘息患者末梢血単核球(PBMC)を特異抗原で刺激し, その培養上清中に好酸球遊走活性(ECF活性)が出現するか否かを調べた. ダニ感受性喘息患者PBMCを10ng/ml濃度のダニ抗原存在下で培養すると, 24時間後よりECF活性が認められ, 72時間および120時間目では極めて高い活性が観察された. この活性は他の非感受性抗原で刺激しても発現されず, ダニ非感受性者PBMC培養上清中にも発現されなかったため, 抗原特異的と考えた. 培養上清を限外濾過法にて分子量別に分画すると, 分子量約3万以上の分画に大部分のECF活性を認め, 56℃30分間熱処理しても活性は変化せず, 100℃10分間で失活した. また, このECF活性はPAF桔抗薬CV-6209による抑制を受けなかった. これらから, 認められた遊走因子は特異抗原刺激によって活性化された単核球より産生されたサイトカインの一種であることが推察され, 気管支喘息の好酸球浸潤にも単核球由来の因子が関与している可能性が示唆された.

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© 1991 日本アレルギー学会
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