1991 年 40 巻 6 号 p. 581-586
ヤケヒョウダニ特異IgM抗体の存在を, Western blot及びELISA両法にて, 気管支喘息と非アトピー児について調べ, classical pathwayを介する補体活性化能につき検討した. Western blot法によると同IgM抗体は, 主にダニの65K以上の高分子領域と, び慢性に反応し, 非アトピー児では弱い反応しか認めなかった. この結果, 喘息群はintensive staining及びfaint stainingの2群に大別された. IgM ELISA活性はintensive staining群において有意に高値であった(p<0.01), ダニ抗原による血清中溶血性補体活性の吸収の程度も, intensive staining群に有意に高かった(p<0.95), この吸収はダニ抗原の主に高分子成分との反応に基づくことが判明した. 以上, ダニ特異IgM抗体とダニ抗原高分子成分の反応に基づくclassical pathwayを介する補体の活性化が気管支喘息において一つの重要な役割を果たしていることが推察された.