1992 年 41 巻 12 号 p. 1651-1657
1991年1月から12月までの期間, 花粉症患者及び健常人の鼻分泌液及び血漿中substance P (SP), vasoactive intestinal peptide (VIP) 濃度を著者らの確立した高感度EIA法で測定した. 併せてスギ, ヒノキ花粉の捕集数を測定し, 鼻分泌液中SP, VIP濃度との相関性について検討した. 花粉症患者の鼻分泌液中平均SP濃度は, 花粉飛散期において81.9±48.4fmol/mg proteinと, 非飛散期の30.4±14.7fmol/mg proteinに対して有意に高かった (p<0.01). 花粉症患者の鼻分泌液中平均VIP濃度も, 花粉飛散期において14.2±10.4fmol/mg proteinと, 非飛散期の4.2±3.0fmol/mg proteinに対して有意に高かった (p<0.01). 健常人においては, 花粉の飛散による鼻分泌液中SP, VIP濃度の有意な変化は認められなかった. 血漿中SP, VIP濃度には, 花粉症患者, 健常人ともに, 花粉の飛散による有意な変化は認められなかった.