アレルギー
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アレルギー性疾患末梢血リンパ球におけるヨウレチン : (Lecithin-bound iodine ; LBI) の抗原特異的IL2反応性誘導抑制作用についての解析
川野 豊黄 国輝吉沢 いづみ伊藤 雅彦野間 剛
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1993 年 42 巻 11 号 p. 1707-1714

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抄録

アレルギー疾患において病因抗原及び病勢の把握に有用なin vitroの検査法である抗原特異的interleukin 2(IL2)反応性誘導に与えるヨウレチン(lecithin-bound iodine, LBI)の効果を検討した. LBIは気管支喘息患児末梢血リンパ球(PBMC)においてダニ(Dermatophagoides farinae, Df)抗原で誘導されるIL2反応性を0.01〜100μg/mlの濃度で濃度依存性に抑制した. また, 卵白アルブミン(ovalbumin;OVA)で感作されたアトピー性皮膚炎患児のPBMCにおいてOVA抗原で誘導されるIL2反応性を検討するとLBIは同様に0.1〜100μg/mlの濃度で抑制作用を示した. さらに, pure protein derivatives (PPD)で誘導される抗原特異的IL2反応性誘導は同様に0.1〜100μg/mlのLBIにより濃度依存性に抑制が認められた. concanavalin A (Con A)で誘導したIL2反応性は100μg/mlの非生理的高濃度のLBIによりはじめて抑制された. ヨウレチン服用時の血中ヨウレチン濃度(最高濃度4.30μg/dl)において抗原で誘導されるIL2反応性に対して抑制作用が認められたことより, 生理的条件下でLBIには軽度の免疫抑制作用が存在すると考えられた. Df抗原で誘導されるIL2反応性においてはLBIは抗原提示細胞群及びIL2に反応するT細胞群を共に抑制したが, 抗原提示細胞よりはむしろT細胞がLBIにより高い感受性を示した. 以上よりLBIは軽微な免疫抑制作用をもち, ダニ抗原誘発気管支喘息や鶏卵で誘発されるアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患において, リンパ球のアレルゲンに対する応答性を阻止することにより冶療薬として作用している可能性が示唆された.

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© 1993 日本アレルギー学会
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