アレルギー
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種々のダニアレルゲンに対する気管支喘息患者の多様な応答性
山口 武志小埜 和久重田 征子岡 智和田 武志大塚 正城 智彦
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1993 年 42 巻 12 号 p. 1754-1763

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抄録

アレルギー患者の洗浄血球を血漿存在下及び非存在下で抗原刺激し, 遊離するヒスタミンを, ポストラベル化法で定量する新しいヒスタミン分析HPLCシステムを開発した. この分析システムを用いて, 減感作治療例, 新患例, 及びその他の治療例の3群に分けた気管支喘息患者の洗浄血球を, ダニ排泄物抗原(Dff)で刺激して遊離するヒスタミンを測定した. その結果, ヒスタミン遊離が観察される症例は, 減感作治療群と皮内反応強陽性群に多く, 特に減感作治療群では抗原に対する高い感受性を示し, 低濃度の抗原刺激でヒスタミンを遊離する傾向があった. また, この反応液に患者血漿を添加することにより, 見かけ上の感受性の低下が認められた. この感受性のシフトから, 血漿中のダニ抗原に対する特異IgG, 即ち, 遮断抗体価を見積ることができた. DHとダニ虫体抗原(Dfb)のゲル濾過で分画した各成分に対する応答は, 患者間でかなり異なっていたため, 現在報告されている主要ダニアレルゲン以外にも, その患者にとって重要なアレルゲンの存在が示唆された.

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© 1993 日本アレルギー学会
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