1994 年 43 巻 5 号 p. 645-651
気管支喘息の病態形成において, 気管支粘膜の炎症や気道上皮の損傷が特徴的な因子と言われるようになり, これらには, 活性化されたTリンパ球や好酸球, 及びそのサイトカインが関与していると思われる. 我々はヒト末梢血リンパ球を用い, 好酸球に影響を及ぼすとされているサイトカインのうちinterleukin 2 (IL-2), interleukin 5 (IL-5)に着目し, ヒト末梢血リンパ球をin vitroでIL-2により刺激し, 72時間培養後の^3H-thymidine取り込みによりリンパ球の増殖を, また, 培養液上清中のIL-5値をELISAを用いて測定した. 更に, 免疫抑制剤であるcyclosporin A (CyA)を培養開始時に添加し, これらに及ぼす影響を調ベた. IL-2刺激により, ヒト末梢血リンパ球は増殖を示し, また72時間培養後の培養液上清中には健常人群9例中3例, 気管支喘息患者群11例中7例にIL-5が検出され, これらは, いずれもCyAを培養開始時に添加するとCyAの濃度依存性に抑制がみられた.