1995 年 44 巻 10 号 p. 1199-1206
アトピー性皮膚炎 (AD) における好酸球浸潤の過程を明らかにするために, ヒョウヒダニ抗原特異的IgEが高値を示す AD患者に対し粗ダニ抗原を用いたパッチテストを施行し, 経時的に得られた生検標本を用い, 好酸球浸潤過程を経時的に観察するとともに好酸球顆粒蛋白の沈着過程について免疫組織化学的検討を行った. AD患者では9例中6例にパッチテスト陽性所見が得られたが, 健常人コントロール群は7例全例が陰性であった. 好酸球の浸潤は2時間後に真皮上層の血管内に見られ, 6時間後には血管周囲にも目立ち始め24時間後と48時間後により著明となった. 48時間後には表皮にも好酸球が浸潤し, 好酸球性海綿状態の像を呈した. 浸潤好酸球の大多数は BMK-13陽性で, その15〜59%が活性化好酸球の指標とされるEG2に対して陽性所見を示した. BMK-13, anti-EP, EG2それぞれの陽性反応は真皮膠原線維に広がり, その範囲は時間の経過とともに拡大した. 以上より, ダニ抗原の経表皮吸収に続く好酸球の活性化と細胞外遊走がADの初期の皮疹形成に重要な役割を果たしていることが示唆された.