1995 年 44 巻 5 号 p. 567-570
ヒスタミン加ヒト γ-グロブリン (HG) は古くから非特異的薬物療法剤として喘息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー疾患に使用されている. その作用機序としてはヒスタミン固定能の増強やヒスタミン遊離抑制作用が知られている. 一方, HGはアレルギー患者の末梢血または鼻汁中の好酸球数を低下させることが認められている. 今回, HGが好酸球の増多を積極的に抑制する可能性を考え, アレルゲン誘発の好酸球増多に及ぼす影響を検討した. BALB/cマウスにおけるブタクサ花粉エキスで誘発した腹腔内好酸球増多に対して, ヒスタミン加マウス γ-グロブリン (マウスHG) は臨床投与方法で著明な抑制作用を示した. その抑制作用は陽性対照として用いた cyclosporin A (CsA)に匹敵し, また興味あることに, 構成成分であるヒスタミンまたはマウスドグロブリン単独投与では抑制作用は観察されなかった. 以上の結果から, HGは好酸球増多の抑制を介して, 慢性のアレルギー性炎症を抑制することが推測される.