アレルギー
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小児気管支喘息における血清および喀痰中Eosinophil Cationic Proteinの臨床的意義
谷本 清隆
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1996 年 45 巻 6 号 p. 546-553

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抄録

小児気管支喘息における血清及び喀痰中のECPを小児気管支喘息患者93名とコントロールの健常児16名の計109名を対象として測定し, その臨床的意義について検討した. 血清ECP平均値は, 気管支喘息児が健常児に比し有意に高値を示した. 気管支喘息児では, 発作時群の血清ECP値は非発作時群に比較して有意に高値であった. 気管支喘息児の末梢血好酸球数と血清ECP値に正の相関が認められた. しかし, 喀痰ECP値と末梢血好酸球数とは相関は認められなかった. 喘息発作2病日以内の喀痰ECP値は, 3病日以降の喀痰ECP値に比べて有意に高値を示した. 血清ECP値と喀痰ECP値の間に相関は認められず, また喀痰ECP値について年齢による差は認められなかった. 以上より, 血中及び喀痰ECP値は喘息発作時に上昇しており, 特に喀痰ECP値は年齢に関係なく発作2病日まで著明に上昇するが, 3病日以降は減少した. すなわち, 喀痰ECP値は, 気道局所での炎症反応の状態を反映すると考えられた.

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© 1996 日本アレルギー学会
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