アレルギー
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アトピー性皮膚炎におけるタイプ2ヘルパーT細胞の検討
川口 博史西村 百合香石井 則久中嶋 弘中沢 正年南 陸彦
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1997 年 46 巻 12 号 p. 1258-1264

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抄録

アトピー性皮膚炎 (AD) におけるタイプ1, タイプ2ヘルパーT細胞 (Th1, Th2) の相対的なバランスを調べる目的で, 患者の末梢血リンパ球を固相化した抗CD3モノクローナル抗体の存在下で培養し, 産生されたサイトカインを蛍光標識モノクローナル抗体で染色, 同時に細胞表面マーカーを染色し, flow cytometryにて解析した。その結果AD患者ではインターロイキン (IL)-2産生細胞の比率は健常人と差がなかったが, IL-4産生細胞は健常人に比べて有意に高かった。ADを臨床症状により重症度別に分類すると, IL-2産生細胞の比率は症状と関連がみられなかったが, IL-4産生細胞は重症例ほど高かった。患者の血清IgE値, 血中好酸球数との比較ではIL-2産生細胞, IL-4産生細胞どちらも特に一定の傾向はみられなかった。今回の結果からADでは末梢血液レベルにおいて, IL-4産生Th細胞, すなわちTh2細胞が優位でしかも重症例ほど多く存在することが示された。

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© 1997 日本アレルギー学会
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