アレルギー
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PEF(Peak Expiratory Flow)が正常域にある喘息患者の高張食塩水吸入喀痰誘発試験による誘発喀痰中のECP値の有用性
中澤 卓也鏡味 勝松村 竜太郎川島 辰男松澤 康雄高田 美里
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1999 年 48 巻 10 号 p. 1153-1160

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抄録

少なくとも,4週間以上,気管支喘息発作が無くpeak expiratory flow(PEF)が予測値の80%以上(green zone)を維持している患者に1∼4回の高張食塩水吸入喀痰誘発試験を行い,得られた誘発痰中の好酸球数およびECP値が治療計画に反映できるか否かの予備的検討をした.すなわち,喀痰中のECP値,好酸球数,血清ECP値,喘息点数等のパラメーター相互の相関関係を検定した.喀痰中のECP値は書く痰中の好酸球の比率と強い相関関係に認められた(rs=0.783)が,血清中のECP値とは有意な相関関係はなかった.誘発痰中のECP値は平均の発作点数,治療点数,喘息点数とも有意な相関関係がありその相関係数は,それぞれ(rs=0.500∼0.510),(rs=0.510∼0.546),(rs=0.509∼0.548)であった.以上の結果より,PEFが80%以上に維持され明らかな喘息症状のない患者の誘発痰中ECP値測定は,気道炎症の残存状態をモニターする指標となり,抗炎症薬とくに吸入ステロイドの減量あるいは中止の決定に有用なパラメーターの一つであると考えられる.

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© 1999 日本アレルギー学会
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