アレルギー
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慢性持続咳嗽の鑑別診断における気道過敏性検査の役割
藤森 勝也鈴木 栄一荒川 正昭下条 文武
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1999 年 48 巻 7 号 p. 713-718

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抄録

慢性持続咳嗽は, 臨床上頻繁に遭遇する問題である。この鑑別診断における気道過敏性検査の臨床的意義について検討した。胸部単純X線写真および1秒率に異常のない慢性持続咳嗽症例に, アストグラフ法による気道過敏性検査を行い, 累積反応閾値のDminと年齢, %努力肺活量, %1秒量, 1秒率, %V_<50>, %V_<20>, 末梢血好酸球数, 血清IgE値との相関性を検討した。慢性持続咳嗽51例(男20例, 女31例, 平均年齢41歳)の原因疾患は, 咳喘息29例, かぜ症候群後持続咳嗽13例, アトピー咳嗽6例, その他3例であった。Dminと有意に相関したのは, %V_<25> (r=0.31, p=0.02)であった。Dmin 10単位未満を気道過敏性の亢進と判定した時, 咳喘息診断の感受性は93%, 特異性は87%であった。気道過敏性検査は, 他の検査では代用が難しく, 有用であるが, その診断限界があることを認識しておく必要がある。

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© 1999 日本アレルギー学会
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